世界

平成18年2月号


敗者復活の政治を!
山口二郎×鈴木宗男

「これは国策捜査なんだから」

北海道は五年後の日本

山口

9・11総選挙では、自民党圧勝のなか北海道では自民党が苦戦し、新党大地が40万票以上を獲得しました。他の地域での結果と北海道、あるいは沖縄での民意のあらわれ方の違いは、一体どこに原因があるとお考えでしょうか。

鈴木

たしかに自民党・公明党つまり与党が圧勝したと、言われていますが、私は、自民党は一部地域で圧勝したのであって、全体を見れば地方は地方の明確な意思表示をしたと思いますね。東京、千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪府、兵庫、福岡県、この八都府県で128の小選挙区があります。全体の約三分の一にあたるこの八都府県で、平成15年(2003年)の衆議院選では、自民党が獲得したのは128のうち55でした。今回はなんと104議席です。

この数字を見てもわかる通り、構造改革路線、ありていに言えば弱肉強食路線は、大都会優先で、競争原理、市場原理にかなったところでは評価されている。しかし、この新自由主義に合わない地区は明確にノーと言っています。北海道は12の選挙区のうち、自民党が当選したのはたった4ですよ。前回が5でしたが。沖縄は4区全部が自民党と公明党でおさえていたのが、今回は2勝2敗です。東北も九州も決して自民党は「勝って」いません。地方は今の政治に対して明確に拒否反応示したと思います。

それと、小選挙区で見る限り、自民党と公明党の得票数は3350万で、実は反対票が100万多いんですね。この数字はもっとマスコミなどもしっかりと受け止めるべきではないでしょうか。たまたま小選挙区という選挙制度の枠の中で、自民党が、都会で勝った。ただ先ほど言った8都府県は、これまで民主党が強い地区だったのです。

山口

北海道は日本じゃない」などという冗談もありましたが、私は「北海道こそ五年後の日本だ」とこの選挙結果を考えています。地方切り捨て路線、新自由主義が徹底していけば、現在の北海道のような社会経済状況が本州にも広がっていくわけですから、北海道は決して例外ではなくて、むしろ今後の日本が向かう方向を示している。

鈴木

そうです。私もやはり「北海道がよくなれば日本がよくなるんです。北海道から日本を変えるんです」と言ってきたのですが、ご理解いただいたと思っています。いま、すべて東京の尺度、東京の価値観で物事が動いている。大都会で競争の原理が働くところはいいけれど、人口の少ない過疎地域、地方はいまの構造改革路線に合わない。ですから私は逆に次の選挙が面白くなると思っているのです。

山口

新党大地は北海道のローカルパーティーとして予想以上の得票だったと思うのですが、今後他地域からもそうしたローカルパーティーが出てくるとお考えですか?

鈴木

ローカルというと小さくなりますから(笑)、ぼくはリージョナルと言っていますがドイツなどはそれぞれの地方から出てきた政党が、何十年も連立を組んでいますね。日本という国が二大政党で収斂できるかというと、まだまだ時間がかかるでしょう。今後はイデオロギーのぶつかり合いよりも、その地域の抱える問題や価値観、あるいは手法の違いが焦点になってくるのではないでしょうか。ですから他にも地域政党は出てきてほしいし、出てくるべきだと思います。

山口

私は、仮にも最大野党である民主党が、前原体制下でアメリカへ行って憲法改正を言い、また小泉政治と同じような新自由主義路線で進めば、党自体がかなり分裂傾向になると思うのです。その時に1つの可能性として、いくつかの地域で民主党がリージョナルパーティー化して、しばらくの政党再編期を生き延びるというシナリオもあるのではないですか。

鈴木

自民党を除名されたり、離党勧告を受けた人たちが相当いますから、かれらがそれぞれの地区で立ち上がってくれると、地域政党の連合体はより現実味を帯びますね。

【平成18年2月号世界】 より抜粋

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