Newsweek

平成17年11月23日号


日本が見誤ったロシアのシグナル

― 以前に比べてロシアの態度が硬化しているように感じる。


 ロシアが送るシグナルを日本が読みきれず、反応してこないことに向こうはいらだっている。
 たとえば昨年11月の日ロ首脳会談直前、ロシアの外相がテレビで「56年日ソ共同宣言で約束した歯舞と色丹の引渡しは行う」という趣旨の発言をし、プーチン大統領が評価した。これは領土問題を現実的に動かしたいと日本へシグナルを送ったわけで、大統領は会談で答えを聞けることを期待した。
 だが小泉総理は「ロシアの冷凍マンモスが話題なので愛知万博に合わせて訪日しないか」
 とトンチンカンな答えを返した。相手の琴線に触れると思ったのかもしれないが、逆鱗に触れた。大統領はマンモスの付録か、と。
 こういうことが起きるのは、振り付けをする外務官僚の基礎体力、つまり外交の知恵や構想力、先見性が落ちているからだ。

―中略―

― 日本はどうすべきか。

 「四島の帰属問題を解決してから」という原則論だけでは、ロシアは乗ってこない。役人は良い情報も悪い情報も総理に上げて、解決するにはどんなアプローチがあるのか説明すべき。小泉さんも週刊新潮を読んで、保身優先で国益を考えない外務省の実態を知ったほうがいい。
 二島の返還義務はロシア議会も批推しており、無理な話ではない。その時点で中間条約のようなものを結び、平和条約を締結するまで(残り二島は)共同統治にするなど、知恵は出せる。富士山に登るにも、山梨側が天気が悪ければ静岡側がある。

【平成17年11月23日号 Newsweek】 より抜粋

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