フィナンシャルジャパン

平成18年9月号


鈴木宗男のメディア論 権力に利用される恐怖

「悪徳政治家」− このレッテルを貼られた鈴木宗男衆議院議員は、メディアによるバッシングをきっかけに、社会の怒りを一身に浴びた。
「地獄を見た」と話す彼は再び政治家として復活している。
その彼はメディアをどのようにとらえているのか。
「権力に利用される怖さ」。こうした懸念が返ってきた。

―メディアはどんな役割を果たしたのだろうか。人々の怒りを煽り、自ら興奮していったのか。

そうかもしれませんね。ただ不思議なことに、私はメディアにあまり怒りを感じないんですよ。メディアは情報がなければ報道しませんから。そして情報を求める存在です。
そこに「鈴木宗男」に対する、ある悪い意図を持って情報を流した権力者がいたんです。
メディアが謀略に利用されることに、怖さを感じます。メディアの内部でも、情報の受け手も、メディアが権力に使われることを知らない人が多い。バランス感覚のある人はメディアの中にもいます。けれど、権力の怖さをわかっていてもそのままにするのです。
情報を持っているのは権力側ですから。権力に擦り寄らなければ、情報は取れないんです。

―ではメディアは誰に使われたのだろうか。

私たち国民が知らないところで、権力を持つ集団です。私は「闇権力」と呼んでいます。
特定の誰がというわけではありませんが、そうした集団が確実に永田町や霞ヶ関に存在して、国に影響を与えています。まず官僚組織です。私に対してはですね、外務省の人間が、陥れるための謀略や情報操作をしていました。
ロシア、アフリカ外交を、私が命がけでやったのは誰もが知っています。外務省は不祥事や特権でどうしようもない役所でしたが、国益のためと思い私は彼らを守ったのです。
それは間違いでした。国民の皆さんに謝罪したい。悪い面を知りすぎたからこそ外務省は私を陥れたのです。「鈴木宗男と闘うヒマがあったら、外交をしろ」と言いたいですね。
検察も権力です。「正義の味方」と思う人も多いが、そんなことはありませんよ!
検察は官僚機構の一部で、「上」の意向を見て動く。上とは法務大臣、そして最終的には「官邸」です。
政治の世界では権力闘争の綱引きが頻繁に起こります。私の事件もそうした流れの中にありました。当時、私は「抵抗勢力」の筆頭になっていました。逮捕の直前に、改革を掲げる小泉政権の中枢にいた有力政治家が「鈴木の捜査はどんどんやれ。政権には影響はない」と記者懇談会で言ったそうです。その言葉が、私をつぶす追い風になったことは間違いないでしょう。「無理な捜査でもいいんだ」と検察は当然思うはずですよね。

―鈴木氏はこうした権力闘争の中で、足元をすくわれたと分析する。このときの、メディアの役割はどうだったのか。

情報の伝達役、権力の尖兵になるんですよ。取材をする記者が、私の言ったことや動静を調べて、報道せずにそのまま権力者に伝えたこともあったようです。そして、私の場合は悪い情報が出すぎて、情報がこんがらがっちゃった。特捜部の調べのときにね、検事が
週刊誌を見せて「先生、この疑惑はどうなんですか」なんて聞いてきたこともあったんです(笑)。
メディアは「反権力」だというイメージが、それまでの私には少しありました。そんなことは決してありません。権力者に利用される存在であり、権力の一部を構成しているんです。都合いいように使われるんですね。

【平成18年9月号 フィナンシャルジャパン】 より抜粋

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