平成18年11月28日号 経済界

森田実の言わねばならぬ[500]
「声」特集――言論の自由が日本を救う
『鈴木宗男の国会質問主意書全255本』の恐るべき迫力
――すべての政治家はたった一人で戦いつづける鈴木議員の旺盛なる闘志を学べ
「孤独はすべてすぐれた人物の運命である」(ショーペンハウワー)


 鈴木宗男衆議院議員(新党大地代表)の新著『鈴木宗男の国会質問主意書全255本』(にんげん出版、06年10月10日刊)を読んだ。現役政治家の著書としては、間違いなく、第一級の政治資料的価値のある著作である。
 本書の奥付は鈴木宗男氏の略歴を次のように紹介している。
 《1948年、北海道足寄町に生まれる。1970年、拓殖大学卒業。在学中より衆議院議員(当時)中川一郎の秘書を務める。1983年、衆議院議員選挙初当選。その後、防衛政務次官、外務政務次官、国務大臣・北海道沖縄開発庁長官、内閣官房副長官などを歴任。2002年、外務省をめぐる疑惑事件から自由民主党を離党。同年、あっせん収賄の容疑で逮捕、拘留される。起訴事実を全面的に否認、検察側と対立したため拘留期間は衆議院議員として最長の437日におよぶ。2003年、保釈。2005年8月、新党「大地」を旗揚げし、新党「大地」代表として衆議院議員に復活を果たす。》

「ブッシュの世界戦略」に協力した小泉政権のもとで
 鈴木宗男氏は、小泉政権登場まで、政界の実力者といわれた。ポスト小渕の小渕派の首相候補者として額賀福志郎(元防衛庁長官)、藤井孝男(元運輸相)両氏とともに名が挙がっていた。3氏の中で鈴木氏がトップにいた。当時の政界の最高実力者・野中広務氏の同志であった。
 だが、鈴木氏は小泉内閣になって失脚した。この背景には、ブッシュ政権が小泉内閣に「日本のイギリス化」(外交政策の転換)を求め、小泉内閣がこれを受け入れ実行したことにあった。ブッシュ政権と小泉政権は「日本のイギリス化」のため、それまでの日本と、北朝鮮、ロシア、中国、イラン、イラク関係の中心にいた政治家と経済人を切り捨てたのだった。鈴木宗男、野中広務、加藤紘一氏らの失脚の背景には、ブッシュ政権の新世界戦略とそれに対する小泉政権の全面協力があった。
 それまで日ロ関係の中心にいた鈴木宗男氏が排除されたのだった。
 一人政党「新党大地」を支えた北海道民
 自公連立与党が大勝した05年9月の衆院総選挙において、驚くべきことが起きた。鈴木宗男氏の「一人政党」である新党大地の得票数が公明党、共産党、社民党を上回り、鈴木氏を当選させた(民主党109万、自民党94万、新党大地43万、公明党36万、共産党24万、社民党15万)。共産党、社民党は議席を獲得できなかった。鈴木宗男氏の一人政党「新党大地」は北海道の第三勢力になり、「衆議院議員・鈴木宗男」が復活した。
 鈴木氏が北海道民から支持されたのは、第一に、鈴木氏が北海道を救うためには公共事業が必要だと強く主張したからだった。
 第二に、鈴木氏のアイヌ問題、自然環境保護に関する政策が道民にとって新鮮な政策として受け止められ、支持された。
 第三は道民の「判官贔屓」だ。多くの道民は、鈴木氏が小泉政権、外務省、法務当局による「国策捜査」によって嵌められ、無理矢理に犯罪者にされたと思っている。
 そして第四に、北海道民の多くは、北海道の政治家のほとんどがひ弱な二世議員であることに失望している。道民は鈴木氏のような強い個性を持つ、たくましい政治家を求めている。

 本書の第一部「鈴木宗男の質問主意書をどう読むか」は、涙なしには読めないほどの切々たる文書である。そこに真実の人間、真実の政治家がいる――と私は感じた。私自身は今まで鈴木宗男氏をほとんど知らなかったが、本書を読んで鈴木氏に対する認識を改めた。強い「男の中の男がいる」と知った。
 鈴木氏は書いている。
 《「ひとり政党」であれ、国会議員という立場でどのように効果的な闘いができるかと思って国会法を読んでいると、いままで気づかなかった重要事項が浮かび上がってきた。質問主意書制度である。実を言うと、当選直後にある若手外交官から、「うち(外務省)の上の方は、鈴木宗男がどれくらいの数の質問主意書を出すかで怒りの度合いがわかると戦々恐々としています」という情報が寄せられたので、質問主意書について研究してみることにしたのだ。…国会法の関連条文を読んでいると、質問主意書は国会議員に与えられた大変に強力な武器であるということがわかった。》
 鈴木宗男氏にはたった一人になっても戦う強い政治家魂がある。今、大多数の政治家は「寄らば大樹の陰」の安逸な生き方をむさぼっている。
 すべての政治家に訴えたい。鈴木宗男氏に見習い、鈴木氏の「戦う政治家魂」を学べ、と。

【『経済界』11月28日号(11月14日発売)「森田実の永田町風速計」より抜粋】


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